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着物のお手入れについて

日頃のケアー

着用時

着物を着用する時には、清潔な部屋で着物を広げることができる大き目の敷き紙を用意します。衿芯を入れたり、伊達衿をつけたり、帯を折ったりと着物を着る時は何かと作業することがあります。また着物を着る前には化粧などで手が汚れていることがありますので念入りに手を洗います。案外汚れがつくのが袖口です、手首まで念入りに洗い、着る前に清潔にします。着物を着る前に汗をかかない環境づくりも大切です、水分は控えめにし夏場は特に涼しい場所で着ると良いでしょう。

外出時

外出時には、タクシーなど車の乗り降り、階段の上り下りは裾が汚れやすいので気を使いたいものです。雨の日には雨コートを着用し、礼装以外では足元も雨下駄や雨草履などを履き、裾へ雨がはねないよう注意します。礼装用の草履などには雨用の草履カバーがデパートなどで販売されていて便利です。また食事の際は大き目のハンカチを用意し、料理を取る際は袂(たもと)が汚れないよう気を使います。着物を着ると初めての方は特に、窮屈に感じるかもしれませんが洋服と同じような動きをすると着物がほころびたり、汚れの原因になります。着物を着た時は、静かに落ち着いてゆっくりと行動するのが着物も汚れず見た目にも美しいです。

帰宅時

1、和服用ハンガーにかけて、2時間ほど風通しのよいとことで陰干しをしてください。直射日光は避けてください、色焼けの原因になります。
2、ハンガーに掛けたまま、柔らかいブラシかビロードで全体の埃を払ってください。
3、衿・袖口・裾のシミ・ヨゴレ・シワの有無を確かめて、早めに適切な処置をしましょう。取れにくいシミや汚れのひどい物は、無理をせず専門店にまかせましょう。
4、たたみ方は、本だたみ・夜着だたみなどその着物に合ったやり方で、縫い目にそってたたみます。

防虫剤

ナフタリンやパラジクロベンゼンなどは避け、和服専用のもの(樟脳を使ったものが多い)を1種類だけ使いましょう。数種類を同時に使いますと、まれに化学反応を起こし着物が傷む場合があります。

輪ゴム・ビニール袋は危険

金箔・銀箔のあるものは、輪ゴム・ビニール袋を長い間近づけておきますと化学反応により変色することがありますので注意しましょう。

タンスの位置

タンスは、直射日光の当たらない風通しの良い所におきましょう。

虫干し

着物は湿気を嫌い風を喜びますので、年に一度は晴天の続く日を見計らって虫干ししてください。長期間しまい込んだままにしておきますと、タンスの中に硫黄やガスがたまり変色・黄変の原因になりますので十分注意してください。

着物とアイロン

アイロン

着物は洋服のように頻繁にアイロンをかけたりしませんが、着物を着る前のたたみシワをとったり、着物を脱いで湿気を十分にとった後、シワを伸ばしたりする際に使用します。扱い方によっては、着物が縮む恐れがありますので温度には十分注意してアイロンをかけます。また湿気は縮みの原因になります、麻、木綿以外は霧吹きやスチームはなどは使わないほうが無難です。またアイロンをかける際は木綿や麻以外の着物には必ず当て布を使用します。

アイロンの適温

木綿・麻 180〜200度
絹     130〜150度
ウール  120〜140度
レーヨン・キュプラ・ポリエステル 110〜150度
アセテート・ビニロン・ナイロン  110〜130度
※アイロンの種類や生地により適温は多少前後します、取扱には十分注意して下さい

きものの収納・管理

たたみ方

着物や帯はたたむ形が決まっているので、洋服に比べ収納が楽です。着物や帯は折り目正しく、不必要な折り目などを入れずに決まった形に畳み、金糸や銀糸刺繍など細工のあるものは薄紙を当て保護し、たとう紙や布に包んでしまいます。

収納・保管

収納時には、種類、材質、季節、用途などで分けると整理がしやすく、着る時に慌てずにすみ、また防虫や防湿の点でも便利です。また害虫予防として防虫剤を用いますが、2種類の防虫剤を入れると化学反応を起こし、水分が発生したりして着物や帯のシミや変色の原因になります。防虫剤の種類を混ぜないよう注意し、防虫剤は容器の上部に置きます。収納容器には、昔ながらの桐箪笥が優れています。桐箪笥は湿気が高いと木目がつまり、空気が乾燥すると自然に木目がひらき、中に入っている着物や帯を守ってくれます。しかし桐箪笥は非常に高価なので桐製の衣装ケースや茶箱などで代用されるのも良いでしょう。

虫干し

虫干し

着物は湿気を吸うといたみやすくなり、カビも発生しやすくなります、そこで虫干しをし着物や帯、草履やバックなどの小物類の湿気をとる、湿気の多い日本ならではのお手入れ法です。虫干しには季節ごとに呼び名があり、7〜8月の土用干し、10〜11月の秋干し、1〜2月の寒干しといわれます。梅雨の湿気をとる夏、空気がよく乾燥している時期の秋、最も乾燥している冬と、昔は丁寧なお手入れをしたようです。虫干しを行う日は2〜3日晴天が続いた日を選び、午前10時から午後3時ぐらいまでの間に室内の風通しの良い場所に綱や竿などに着物をかけ、風を通します。虫干しする時にシミや汚れなどの点検も忘れずにしましょう。虫干しは、着物を長く着るための生活の知恵です。

虫干しの種類

土用干し   7〜8月
秋干し  10〜11月
冬干し  1〜2月
※2〜3日晴天が続いた後、10時〜3時までの間に湿気を取り除く

クリーニング

洗い張り

洗い張りは、解(と)いてから洗うのでとき洗いともいわれ、昔からある着物のお洗濯方法です。着物をほどき一反の着物の形にしてから洗います。ほどいてお洗濯をしますので、お洗濯後は仕立て直しをしてもらいます。前後の身頃を入れ替えたり、裾が切れている八掛を変えたり、色をかけたりして新たな着物に仕立ててもらえます。縮みやすい生地で着物として用布が足りなくなったら、コートや帯に仕立て直すこともできます。着物はいろいろと着回しができとても便利で合理的です。洗い張りは仕立て直しのこともありますので、着物の知識のある専門店や呉服屋さんにお願いするのが安心です。

丸洗い・生洗い

最近ではクリーニングの技術も発達したこともあって、洋服と同じ感覚で着物を洗うことができるようになりました。これを丸洗いといいます。丸洗いは着物の形のまま、化学洗剤で洗うので縮み等の心配もなく何度も洗え、洗い張りに比べ費用も割安なことから手軽に出すことができます。また一枚ずつ丁寧に洗ってくれる生洗いというのもあります。金箔、銀箔や刺繍、特殊な染料などを用いた着物などはクリーニングに出す際、専門家に尋ねるのが良いでしょう。着物は高価です、依頼する際は値段より着物の知識のある専門店へ任せましょう。

シミ抜き

最近では家庭で手軽に使える、シミぬき剤などが薬局などで販売されています。洋服など家庭で手軽にお洗濯できるものには向いています。着物の多くは絹などの高価な生地が多いので安易に染み抜きをされることはオススメできません。また自分で処置をしたあとに、ドライヤーやアイロンなどで不必要な熱を加えることでシミや汚れだけでなく、せっかくの着物などがさらに変色したりや縮んだりすることもあります。シミや汚れがついた場合は、すみやかに専門家に任せるのが得策と思われます。高価な着物です、素人判断で応急処置をすると、結局高い出費になりかねません。薬品類を使う場合は、特に注意しましょう。


このページの参考資料
永岡書店 『美しい着装とマナー』
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